サブスリーとは
フルマラソン(42.195km)を3時間未満でフィニッシュすることです。
フルマラソンを完走できるランナーの中で、全体の上位のおよそ2%くらいがサブスリーで走ることができると言われています。(出典)What is the percentage of marathon runners who want to run a marathon under 3 hours?
私は、9月9日に出場したミュンスターマラソンでサブスリーを達成しました。
達成する以前と変わったことなど、書いていきたいと思います。
経緯
まず、私がサブスリーを目指そうと思った経緯から。
私が本格的にランニングを始めたのは2年半ほど前です。ドイツに転勤して以来、日本では毎日通っていたスポーツジムにも行かなくなってしまいましたし、健康維持のために何かやらないと、と思って手軽に始められるランニングを開始しました。当たり前ですが、当時はここまで速く走ることは考えていません。1kmを5分で走ってもかなり息が上がるくらいのレベルだったと思います。
転機はドイツ人の上司に誘われて出場した、ハーフマラソンでした。スタートの合図と同時に何千人もの人が一斉に走り始め、沿道にはたくさんの応援する人々。そんな中を自分が駆け抜けている。「すごい、何だかよくわからないけど、楽しいぞこれ!」と思いました。ラスト5kmは死ぬほどしんどかったですが、ゴールした時の達成感もまた格別でした。その時初めて、もっと速く走りたいと思いました。
それ以来、どうやったら早く走れるかを考えながら練習をしてきました。初めてハーフで1時間半を切ったときに、よし次はフルマラソンでサブスリーを目指そうと思いました。
達成
当初、サブスリーは2019年のボストンマラソンで達成したいと思っていました。ミュンスターマラソンではサブスリーは目標にはしていませんでした。直近の目標はボストンマラソンへの出場で、その参加資格がほぼ確実に得られる3:05をミュンスターマラソンでどうしても達成しなければいけません。というのは、すでにボストンへの航空券も購入済みだったため、出場資格が得られないとそれが無駄になってしまうからです。本題とは関係ないですが、こういうむちゃくちゃな追い込み方が人を強くするのだと、終わった後に思いました。
しかし、最初から3:05のペースで走り続けると、最後に少しペースダウンしてしまったらもうアウト。粘れるところまではサブスリーペースで走って、途中で少し落ちても5分以内には抑えられるあろうという狙いでレースを運ぶことにしました。
予定通り、30kmまではサブスリーペースで走ることができました。最後の12kmは本当につらくて、
「今からペースを落としても3:05は十分達成できる、あとは楽しよう」
という考えと
「ここでサブスリーを諦めたらこの先一生後悔する」
という考えが何度も頭の中で喧嘩していました。最終的に後者が勝ちましたが、それはこの2年半ランニングを通して培った意志の強さの表れだと思います。
達成した今
長々と経緯について語ってしまいましたが、達成した今と以前の違いを一言で表すと
「危機感がまったくなくなった」
ということです。達成する前は常に心のどこかで危機感を持って練習していました。すでに年齢的には体力のピークを過ぎているわけですし、いつ足を痛めたり体を壊したりして走れなくなるか分かりません。これはランニングに限らずですが、社会に出て10年間、自分が一度決めた目標は、多少時期がずれることはあっても必ず達成してきました。それをここで終わらせていいのかという「危機感」。これがもうまったくありません。
もうミュンスターマラソンが終わって2週間たちますが、いまだに足の調子が戻りません。以前だったらたとえそれが悪いことだとは分かっていても走っていたと思います。今は当たり前ですが、走りません。具体的な月間走行距離の目標を設定する気分すら起きません。おそらくこのままだったらボストンマラソンに出場して、私の(競技としての)マラソンは終わることになるでしょう。
今後
次の具体的な目標を決めるかどうかでとても悩んでいます。決めなければもう終わりになるし、決めたら決めたでまた今までのようにきつい練習に耐えなければいけません。それを達成したらまた次の目標を決めるのでしょうか。それこそネバーエンディングストーリーですね。もう少し時間をかけてじっくり悩みたいと思います。