マイラー系のブログを見ていると頻繁に出てくるポジショニングフライトという言葉。個人的には一般の方が旅行を行う上では全く使わない言葉だと思いますが、マイラーのみなさんでも名前から何となく意味を推測して使っているという方が多いのではないでしょうか。今日はポジショニングフライトとはどういう意味なのかを調べてみました。

本来の意味(航空業界の言葉)

マイラーが日常的に使っているポジショニングフライトですが、本来の意味は少し違うようです。

フェリーフライト

ポジショニングフライト(英:Positioning Flight)によく似た意味の言葉として、フェリーフライト(英:Ferry Flight)という言葉があります。フェリーフライトとは、簡単に言うと電車の回送車のようなもので、航空機の移動が目的となるフライトを指します。 乗客を乗せずに航空機が移動することをフェリーフライトと呼びます。

ポジショニングフライト

WikipediaのFerry flyingのページ(日本語ページはありません)に、ポジショニングフライトについての記述があります。

An aircraft may need to be moved without passengers from one airport to another at the end of that day's operations in order to satisfy the next day's timetable – these are known as positioning flights, although strictly speaking these are still a type of ferry flight.

https://en.wikipedia.org/wiki/Ferry_flying

これによると、ポジショニングフライトとはフェリーフライトの一種で、航空会社の都合で同じ機材を次の日に別の空港で使うために移動させることを指しているようです。

例えば、ある航空機が本日最後の目的地の羽田空港に到着しました。本来であれば次の日の朝まで羽田空港で待機するはずですが、次の日の早朝、同じ機材を伊丹空港を出発する便に使用することが決定し、急遽伊丹へ移動しなくてはならなくなりました。この場合、乗客を乗せずに羽田から伊丹へのフライトを行いますが、それをポジショニングフライトと呼ぶそうです。

マイラー界でのポジショニングフライト

マイラーは基本自分勝手です。ポジショニングフライトの「ポジショニング」とは、本来上記で述べたように「機材のポジショニング」を指すはずなのですが、それを都合よく「自分のポジショニング」と解釈して、まったく別の意味に変えてしまいました。マイラーは、目的のフライトを行うために自分自身が移動するためのフライトをポジショニングフライトと呼んでいます。

簡単な例

あなたは会社のお盆休みにヨーロッパ旅行をしようと思い、航空券を検索します。ハイシーズンですので、東京からフランクフルトまでのビジネスクラスの往復チケットは60万円以上の価格だとわかりました。この値段ではちょっと手が出ません。

しかし、そこであなたは気づきます。「お隣の韓国には同じようにお盆休みはあるんだろうか」。ネットで調べると、韓国のお盆休みは9月下旬で日本とは時期がずれているということがわかりました。では、ソウル発のフランクフルト行きチケットであれば、かなり安くなるのでは?調べてみると大正解、なんと往復30万円でビジネスクラスのチケットが購入できることがわかり、すぐに予約・発券を行いました。

ここで一つ問題があります。ソウルからフランクフルトまでのチケットは手に入れましたが、往路、復路ともに東京・ソウル間を移動しなくてはなりません。迷った末、あなたはたった2時間半のフライトであれば、LCCで構わないと思い、往復2万円のソウル行きチケットを手配します。 こうして、直行便であれば60万円かかるはずだったヨーロッパ旅行が、めでたく合計32万円で手に入りました。

さて、 ここでポジショニングフライトの話題に戻ります。 あなたが最初に飛ぶLCCの東京発ソウル行きのフライト、まさにそれがポジショニングフライトです。本来の目的であるソウル発フランクフルト行きのフライトに乗るためだけに、自らをソウルにポジショニングするわけです。

重要な注意点

ポジショニングフライトを行う上で、一点、とても注意しなければならないことがあります。上記の例ではかなり安くヨーロッパ旅行のチケットが手に入りました。ただし、それ相応のリスクがあります。

今回の旅程は厳密にいうと「乗り継ぎ」ではありません。まったく別の航空会社で異なる旅程を予約・発券しています。例外はありますが、基本的にはソウルでいったん入国し、荷物を受け取り、再度預けなおして、出国、その後フランクフルトに飛ばなくてはなりません。

もし、東京発ソウル行きのフライトが長時間遅延し、目的とするフランクフルト行きのフライトに乗り遅れてしまったらどうなるのでしょう。 残念ですが、予約変更不可のチケットの場合どうにもならないので再度航空券を買いなおす必要があるでしょう。最悪の場合、空席もなくそこで旅程が終わってしまう可能性もあります。そこであなたが「ヨーロッパ旅行はやめにして韓国旅行を楽しもう」とぱっと切り替えられる人であれば何も問題はありませんが、最低限、相応のリスクは承知したうえでポジショニングフライトを行う必要があります。

まとめ

ポジショニングフライトとは、本来航空会社が航空機を移動させるために作られた言葉ですが、いつの間にかマイラー界では自分自身が移動するための言葉となってしまっています。

ポジショニングフライト自体はうまく使えば旅費を節約できたり、本来であれば行く予定のなかった新しい目的地を追加できたり、大変便利であることは間違いありません。ただ、リスクも存在するのでポジショニングフライトを利用する場合は十分余裕のある旅程を組むことをお勧めします。

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